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夏と秋に台風が多いのはなぜ?対策と避難の持ち出し品一覧を紹介
目次
一年中発生する台風。日本上空は台風の通り道になっており、とくに夏から秋にかけて多くやってきます。
発生・上陸が多い月は8月から9月なのですが、時期によって夏台風、秋台風というように呼び方が異なる他、特徴にも違いが見られます。
そこで今回は、夏から秋にかけて台風が多い理由、夏台風と秋台風の違い、台風対策、避難の際の持ち出し品一覧など、台風についての情報を一挙にご紹介します。
台風シーズンに備えて対策方法等を知りたいという方は、ぜひご一読ください。
夏と秋に台風が多く発生する理由とは?
台風が発生するのは、海上です。
海水温が上昇して海水が蒸発すると、上昇気流が生まれて空気が渦を巻き(熱帯低気圧)、やがて台風となります。
そのため、海水温の高い時期は必然的に台風が多く発生するのです。
「夏は暑いから台風が発生するのは分かったけど、秋は涼しいはずなのにどうして?」と思う方もいるでしょう。
確かに秋ごろになると気温が下がって涼しくなりますが、実は、一度温まった海水はなかなか冷えません。
つまり、海水温が高くなる夏だけでなく、その熱が残る秋も台風が発生しやすいというわけです。
夏台風と秋台風の違い
台風は夏から秋にかけて発生するのですが、夏の台風(以下、夏台風)と秋の台風(以下、秋台風)には違いがあります。
それぞれの特徴は、以下の通りです。
・夏台風
夏台風の最大の特徴は、「動きが遅い」という点です。
夏は海水の温度が高くなるため、より暖かい南の海上で台風が発生しやすくなるのですが、実はこの時期、強い太平洋高気圧が張り出し、バリアのように日本列島を覆ってしまいます。
そうなると、偏西風が北に押し上げられ、台風はわずかな気流に流されるだけなので速度が遅くなるのです。
また、夏台風には「不規則に複雑な進路をとる」という特徴もあります。
太平洋高気圧や偏西風、別の台風の影響を受けやすいことから、なかなか北上しなかったり、突然南下したりと、不規則な進路をとらざるを得ないのです。
・秋台風
秋台風は、夏台風とは違って「動きが速い」という特徴があります。
秋台風は、日本の南の海上で進路を北東に変える性質があります。
この時期、偏西風が日本上空へ向けて南下するため、台風が偏西風に乗りやすく、急激に速度をあげて一気に列島を駆け抜けるのです。
移動速度が速いため強風が発生しやすく、危険度も増します。
また、「雨量が多くなる」という点も秋台風の特徴の一つです。
台風が接近することで、日本付近にある秋雨前線の活動が活発になるため、大雨が降りやすくなります。
なお、俳句の秋の季語に「野分(のわき)」という秋台風を指す言葉があるのですが、実は野分の元々の意味は「強風」。それが現代では「野分=台風」と意味づけられています。
秋台風の特徴である「強風」を表す、なんとも当を得た表現と言えますよね。
このように、夏台風は「スピードが遅くて動きが複雑」、秋台風は「スピードが速くて風が強く、雨量が多い」という特徴があります。
スピードに関して言うと、夏台風が蛇行運転する自転車、秋台風が高速を走る車といったところでしょうか。
どちらも同じ台風ですが、周囲の環境によって速さ、動き、雨量などが異なるため、これらの特徴を理解した上で台風対策を行うようにしましょう。
家の外の台風対策
家の外の台風対策は、風が強くなる前、大雨が降る前に行うのが鉄則です。
風雨が強まってから行うとケガをする恐れがあるため、こまめに台風情報をチェックし、早めに対策を行ってください。
主に以下の点を確認し、必要であれば補強等をしましょう。
・窓や網戸を補強する
強風によって窓が割れたり、網戸が外れて飛ばされたりする危険性があります。
雨戸がある場合は閉め、ない場合は養生テープで補強したり、外から板を打ち付けたり、網戸の外れ止めをセットしたりしましょう。
なお、窓に養生テープを貼る際は、「×」や「米」の字のような形に貼ってください。万が一窓が割れても、ガラスが飛び散りにくいので安全です。
・側溝や排水溝を掃除する
大雨によって道路に水が溜まると、浸水被害につながる恐れがあります。被害の拡大を防ぐためにも側溝や排水溝は掃除をし、水はけを良くしておきましょう。
・物を固定する、片付ける
鉢植えやごみ箱のように風で飛ばされそうなものは固定するか、家の中に移動してください。
毎年、飛来物によってケガをしている方が多数いるため、「これくらい大丈夫だろう」と思わず、もしもに備えた丁寧な台風対策が必要です。
・庭木や塀を補強する
あまりにも風が強いと、庭木や塀が倒れてしまうため、念の為に補強しておくことをおすすめします。
家の中の台風対策
家の中の台風対策も、できるだけ早めに行うようにしましょう。
・窓ガラスに飛散防止フィルムを貼る
外からの補強だけでは不十分な可能性があるため、内側からも飛散防止フィルムを貼りましょう。
・カーテンやブラインドを閉める
外から物が飛んできた場合や、窓ガラスが割れた場合に備えて、カーテンやブラインドは閉めておきましょう。
・停電時に役立つアイテムを揃える
台風によって停電が起きる可能性が高いので、「懐中電灯」「携帯用ラジオ(乾電池式)」「ローソク」などを用意しておきましょう。
・防災グッズを用意しておく
台風が長く停滞して家から出られない、または避難が必要になることもあるため、非常用の食料品や水、救急薬品などの防災グッズを用意しておきましょう。
なお、一覧は下記の「持ち物は必要最低限に!台風時の非常持ち出し品一覧」に記載しています。
・生活用水を確保する
台風の被害の規模が大きいと、断水する可能性もあります。
浴槽に水を張る、ペットボトルなどに水を溜めるなどして、飲み水とは別に生活用水を確保しておくことも大切です。
万が一に備えて避難場所と避難経路の確認をしよう
台風の規模が大きくなればなるほど、被害は甚大になります。
土砂崩れが起きたり、河川が氾濫したりすると家屋の浸水や倒壊の危険性が高まるため、学校や公民館などの指定避難場所と、そこまでの避難経路をあらかじめ確認しておきましょう。
避難する際、家族みんなで行動するとは限りません。そのため、普段から避難場所や連絡方法につぃて家族で話し合っておくことが大切です。
さらに、市区町村が作成している「ハザードマップ」は、災害時の危険個所を確認するのに有効です。
たとえば、河川が氾濫した場合の浸水被害が予想される地域や、土砂災害の危険性が高い地域(土砂災害危険個所・土砂災害警戒区域など)を知ることができます。
ただし、お住まいの地域が危険地域と認定されていないからと油断するのは危険です。
「うちは大丈夫」と安心せず、危険を感じたら速やかに避難しましょう。
持ち物は必要最低限に!台風時の非常持ち出し品一覧
避難のとき、両手がふさがると危険度が増すため、持ち物は必要最小限にとどめましょう。
以下は、非常持ち出し品の一覧です。
・リュックサック
持ち出し品を入れるのに使用します。
・飲料水
ミネラルウォーターの他、ミネラル入りの麦茶、スポーツドリンク、経口補水液なども用意しておくと安心です。
・食料品
乾パン、クラッカー、缶詰、レトルト食品などの日持ちするもの。乳幼児がいる家庭は、粉ミルクと哺乳瓶も忘れずに用意しましょう。
・常備薬
風邪薬や解熱鎮痛剤、胃腸薬、傷薬など。持病やアレルギーの薬を服用している場合は、それらの薬も持ちましょう。
・薬以外の衛生用品
マスクや生理用品など。乳幼児がいる家庭は紙おむつも用意してください。
・貴重品
現金、預金通帳、印鑑、健康保険証、身分証明書など。
・衣料品類
下着やタオルなどの他、軍手、靴、雨具、寝袋などを用意すると良いでしょう。
・道具類
ナイフ、缶切り、懐中電灯、ラジオ、電池、鍋・水筒、ライター(マッチでも可)、ティッシュなど。
・その他
防災ずきんやヘルメット、地図、予備の眼鏡など。
最小限と言っても、持ち物は意外と多くなりがちです。上記を参考にしながら、自身や家族に必要となるものを選んでまとめてくださいね。
台風が接近するとどんな警報・注意報が発令される?
台風が接近すると、気象庁から様々な警報や注意報が発表されます。
警報・注意報は、「特別警報」「警報」「注意報」の3段階に分かれています。
全ての警報・注意報が警戒対象ではありますが、特別警報は重大な災害が発生する恐れがある際に発表されるものなので、とくに注意してください。
・特別警報
大雨(浸水被害、土砂災害)、暴風、波浪、高潮などにおいて、重大な災害が発生するおそれが「著しく大きい」ときに発表されます。
・警報
大雨(浸水被害、土砂災害)、暴風、波浪、高潮などにおいて、重大な災害が発生する恐れがあるときに発表されます。
・注意報
大雨(浸水被害、土砂災害)、暴風、波浪、高潮などにおいて、災害が発生する恐れがあるときに発表されます。
気象庁が発表している警報・注意報などの防災気象情報は自助に役立つため、情報をこまめに確認し、早め早めの行動を心がけましょう。
また、これらの警報・注意報が発表されると交通機関が止まる可能性があるため、外出は控えてください。仮に外にいるという方は、早めの帰宅を心がけましょう。
なお、台風が通り過ぎても吹き返しの風が吹いたり、雨が降り続いたりすることもあるためすぐに安心はできません。
警報や注意報が解除されるまでは警戒してくださいね。
強風域と暴風域の違いとは?ヘクトパスカルって何?
平均風速が毎秒15メートル以上の領域を「強風域」、毎秒25メートル以上の領域を「暴風域」と言います。
また、台風の大きさは強風域の半径で区分しており、500~800km未満は大型、800km以上が超大型です。
さらに、ヘクトパスカル(hPa)とは気圧の単位のこと。
正しくは、圧力の単位「パスカル(Pa)」の100倍の値を示す言葉なのですが、気象関係で使われる場合は気圧の単位として使用されています。
つまり、台風情報の際のヘクトパスカルは、台風の中心気圧をお知らせしているというわけです。
勢力の強い台風ほどヘクトパスカルの数値が低い傾向にあるため、たとえば「990hPa」よりも「920hPa」のほうが甚大な被害をもたらす可能性が高く、危険です。
ただし、ヘクトパスカルの数値が低い台風が全て危険かというとそうではなく、強い風が吹いているかどうかが重要になってきます。
そのため、ヘクトパスカルの数値とあわせて、風の強さもしっかりと確認してくださいね。
なお、気圧の傾斜が急だと強風が吹きやすいと言われています。
天気図の等圧線の間隔が狭ければ狭いほど気圧の変化が大きく、猛烈な風が吹いているという意味なので、気になる方は天気図の等圧線を確認してみましょう。
「台風」「タイフーン」「ハリケーン」「サイクロン」は何が違うの?
台風もタイフーンもハリケーンもサイクロンも、全て熱帯低気圧が発達したものなので、端的に言うと「同じ」です。
ただ、発生地域によって呼ばれ方が異なる他、台風が日本分類であるのに対してタイフーンとハリケーン、サイクロンは国際分類なので、風速の基準も異なります。
・台風
発生地域は東経180度よりも西、「北西太平洋」「南シナ海」で、最大風速は17.2m/s~です。
・タイフーン
発生地域は「北太平洋西部」で、最大風速は32.7m/s~です。
・ハリケーン
発生地域は、西経180度より東の「北太平洋東部」「北大西洋」「カリブ海」「メキシコ湾」で、最大風速は32.7m/s~です。
・サイクロン
発生地域は「ベンガル湾」「北インド洋」「南太平洋西部」で、最大風速は32.7m/s~です。
台風には番号と名前がある!日本が出した10個の名前とは?
台風には、以下のルールに則って番号と名前が付けられています。
・台風の番号
毎年1月1日以降に発生した台風を1号とし、発生順に番号を付けていくよう決められています。
なお、気象庁によると、1951年~2018年の間で台風の発生数が最も多かったのは1967年の39個で、最も少なかったのは2010年の14個です。
・台風の名前
台風の名前は英語のみでしたが、2000年以降、北太平洋および南シナ海で発生した台風には各国が設定した名前が使われるようになりました。
台風の名前を出している国は、日本、韓国、中国、香港、北朝鮮、ラオス、マカオ、マレーシア、ミクロネシア、フィリピン、タイ、ベトナム、アメリカです。使用される名前は順番に使われています。
台風の名前は全部で140個、年に関係なく、順番に付けられていくそうです。
日本からは出された名前は10個で、「ウサギ」「テンビン」「クジラ」「カジキ」「ヤギ」「コグマ」「カンムリ」「ハト」「トカゲ」「コンパス」の星座を意味する言葉が選ばれています。
2019年の台風はどうなる?
2019年は、弱いエルニーニョ現象が継続している影響から、対流活動の活発なエリアが平年よりも夏は南、秋は南東にずれると言われています。
対流活動が活発なエリアは、台風のもととなる積乱雲が発生しやすいので、台風が発生する位置も夏は南寄り、秋は南東寄りになるそうです。
秋台風に関しては、海面水温が高い海域を長く通過することになるため、発生してから消えるまでの期間が長い「長寿台風」になる可能性があります。
長寿台風の厄介なところは、進路が不規則という点。進路予想などがコロコロと変わる可能性があるため、秋台風が発生したらこまめに情報をチェックしましょう。
なお、2019年は日本列島西側への太平洋高気圧の張り出しが例年よりも弱い傾向にあります。
台風は高気圧の"縁(ふち)"に沿って時計回りに進む性質があるので、張り出しが弱いということは、沖縄・中国大陸へ向かうのではなく、日本列島に向けて進路をとる可能性が高いということ。
例年よりも早い時期から台風が上陸・直撃する恐れがあるため、十分に警戒しておきましょう。
まとめ
夏から秋にかけて台風が多くなりますが、とくに秋は台風の規模が大きくなりやすく、また日本列島に接近・上陸する可能性が高いため注意が必要です。
台風による災害は毎年発生しており、大雨による洪水や土砂崩れ、土石流など命の危険をともなうものも少なくありません。
台風対策を行ったり、危険な場合は避難したりと、適切な行動をとることが大切です。
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