- いえらぶ暮らしコラム>
- 暮らし>
- 屋根裏に怪しい影!?家に住みつくコウモリの対処法と事前の対策
目次
日没になり、空を颯爽と飛び回るコウモリを見たことがある方は多いのではないでしょうか。
吸血鬼の眷属で、血を吸う生き物というイメージが定着しているコウモリですが、日本でよく目撃されるコウモリは蚊、ユスリカ、蛾、害虫などを食べる益獣※なのです。
※人々の生活や農林業上で有益とされる獣のこと。ネズミを狩る猫と同様。⇔害獣
ただ、近年はコウモリが家屋に浸入し屋根裏などに住みつくことから、害獣としての認識が高まっています。
寒くなる冬は冬眠時期にあたるため大きな被害はありませんが、活動が活発化する春や秋は深刻な被害が出ることも多いので、早めの対策が肝心です。
そこで今回は、コウモリの生体や屋根裏を好むコウモリの種類、住みつかれたときの対処法、家に侵入されないようにする方法などをご紹介します。
コウモリはコウモリ目の動物の総称!世界には980種類 日本には35種類
私たちがコウモリと呼んでいるのは、コウモリ目に属している動物。極地や高山、ツンドラ、大洋上の島々を除く全てに分布しているそうです。
世界には実に980種類ものコウモリが生息しており、哺乳類の1/4を占めているというから驚きです。
コウモリは大きく分けて「コウモリ」と「オオコウモリ」の2つに分類できますが、基本的にコウモリは食虫性(種類によっては植物性・血液食性・肉食性もいます)、オオコウモリは果実や花の蜜などを好む植物性とされています。
前者は農業などにダメージをもたらす害虫を食べてくれるので益獣とされていますが、後者は深刻な農業被害をもたらすとして農家さんから煙たがられているそうです。
そんなコウモリですが、日本には35種類のコウモリがいると言われており(オオコウモリ科・オヒキコウモリ科・カグラコウモリ科・キクガシラコウモリ科・ヒナコウモリ科)、多くの種類がレッドデータブック ※に記載されています。
※レッドデータブック(Red Data Book:RDB)とは、絶滅のおそれのある野生生物の分布や生体、保全状況、影響を与える要因などを記載したもの。
日本に生息するコウモリのうち、人家に侵入して巣を作るのは「アブラコウモリ(別名イエコウモリ)」のみです。
屋根裏から羽音が…!?家に侵入するアブラコウモリとは?
家に侵入するコウモリの多くは「アブラコウモリ(別名イエコウモリ)」です。北海道を除く日本全土に生息しており、主に平野部や市街地にいます。
階級:コウモリ亜目ヒナコウモリ科
体色:黒褐色、灰褐色、こげ茶
体長:4~6cm(羽を広げると約20cm)
体重:5~10g
フン:5~10mmほどでもろく崩れやすい
性格:おとなしくて、積極的に人に噛みつくことは少ない
鳴き声:チッチッチッチッ、キッキッキッキッ
寿命:オスは1~3年、メスは5年前後
特徴:夜行性で主食は昆虫 日本に生息する種は吸血しない
アブラコウモリは羽をたたむと大人の手のひらに収まるサイズ。とても小柄なので、1~2cmほどの隙間があれば建物に侵入し巣を作ります。
人家の屋根裏や軒下、屋根瓦の下、戸袋(雨戸を収納するスペース)、換気口の他、高層ビルの非常口裏や倉庫内といった"日の当たらない場所"を好む習性があるそうです。
また、気温25度以上の環境を好むことから、温暖化やヒートアイランド現象が進む現代は、アブラコウモリが繁殖しやすい環境とのこと。エサとなる昆虫が多い都市部を中心に、被害が深刻化しています。
アブラコウモリが活発に活動するのは春(4~6月)と秋(9~10月)で、夏(7~8月)は子育てに奮闘、冬(11~3月)は冬眠※に入ります。
※寒さと食料不足から身を守るために冬眠をするが、寒さがしのげる場所が多く、エサが豊富にある都市部では冬眠をしないアブラコウモリも出てきている。
交尾は冬眠前の秋、出産は初夏に行われるのですが、産むのは一度に1~3匹ほど。それほど繁殖力はないと思われがちですが、数頭の家族、数十頭の集団で住みつくことも多いため数が爆発的に増えるのです。
さらに、アブラコウモリは一晩で300匹もの虫を食べるフードファイター。消化が早く、毎日大量のフンをします。
屋根裏に100匹以上のコウモリがいると考えたら、ゾワゾワ鳥肌ものですね。
そのまま放っておくと、鳴き声や羽音などの物音だけでなく、
・大量に出るフンや尿のニオイが広がる
・排泄物によって住宅が傷む
・コウモリに感染したダニやノミが繁殖する
・フンにいる寄生虫によって病原菌に感染する可能性がある
これらのトラブルにも悩まされることになるかも…!?
日本ではまだコウモリ媒介による病気の報告はあがっていませんが 、海外では「狂犬病」「二パウイルス感染症」「ヘンドラウイルス感染症」などの病気を媒介することでも知られています。
居心地が良いと勝手に出ていくことはまずありえませんし、繁殖力もすごいので早めに対処することが大切です。
あなたは当てはまる?アブラコウモリが住みつく家の特徴
アブラコウモリが棲み処に選ぶのは、古い家です。
古い家は老朽化によって隙間ができています。
人は気づきにくいでしょうが、小さなイエコウモリからすると立派な入口。ウェルカムな雰囲気につられて入ってしまうのです。
たった1cmの隙間でもものともせずに侵入するので、定期的に家の点検を行うことをおすすめします。
え?駆除できない!?家に住みつくコウモリの対処法
自宅の屋根裏にコウモリが潜んでいたら、あなたはどうしますか?
つかまえて駆除すればいい、と安易に考えるのはNG!
実はアブラコウモリは益獣と見なされており、鳥獣保護管理法によって守られているため、原則として許可なく殺傷目的の捕獲・駆除を行うことができません。
たとえ保護目的であったとしても、自治体に連絡して許可を取る必要があります。
そのため、私たちにできるコウモリの駆除は「家から追い出す」という手法に限られてくるのです。
一般の方が駆除(コウモリを追い出す)する場合、飛べない子どもがいる7~8月と、冬眠期間中の11~3月は避けるのがベター。
子どもを傷つけるおそれがありますし、冬眠によってコウモリが動かないと追い出すことができないからです。
また、駆除の際はコウモリのフンを吸い込んで感染症にならないようマスクをしたり、軍手や汚れてもいい服で体を保護したりと細心の注意を払わなくてはなりません。
素手で触るなんてもってのほかです。
こうして見ると、やはり知識も技術もない一般の方が駆除するにはコウモリは高度すぎるでしょう。
駆除中は逃げるためにガンガン飛びますし、数もたくさんいます。
加えて、コウモリは一度でも棲み処と認めたら中々出ていきませんし、出て行ったとしてもまたすぐに戻ってくるので、できるだけ専門業者に任せたほうが安心です。
コウモリの習性や追い出すのに効果的な道具、侵入経路の特定、再発防止策を知っていますし、追い出し作業後の清掃・除菌もお手のものなので、手早く確実に駆除したいなら専門業者に相談しましょう。
その際は、ホームページでコウモリ駆除の実績が豊富かどうかを確認し、複数の業者から見積もりを取って比較検討を行うことが大切です(悪徳業者には注意してくださいね)。
なお、知らない間に屋根裏などに住みついたコウモリが、なぜか深夜に部屋を飛び回っていたという報告もあります。
怖いですし、どうにか飛ぶのをやめさせたいと無意識にホウキなどを持ち出したり、手を振り回したりする方もいるかもしれません。
しかし、前述したようにコウモリを傷つけるのも素手で触るのもNGです。
コウモリが自然に外に出るまで、窓を開けて辛抱強く耐えましょう。
予防が肝心!コウモリの被害から家を守る効果的な2つの方法
すでに住みついているコウモリを自分で駆除するのは大変ですが、予防なら自分でもできます。
アブラコウモリによる被害を防ぐには、「家の中への侵入を阻止する」「家の周辺から追い払う」という2つの方法を実践しましょう。
・家の中への侵入を阻止する方法
アブラコウモリの侵入を防ぐには、侵入口になりそうな穴を全てふさぐことが大切です。
前述したように、アブラコウモリは1~2cmほどの隙間があれば侵入できてしまうので、人の目線で見ると穴がないと思いがちな場所もコウモリの視点で見ると侵入できる入口となってしまいます。
そのため、屋根の裏側に隙間がないか、換気口のフタが壊れていないかなど念入りに点検しましょう。
なお、点検中に住みついているコウモリを見つけたら、穴をふさぐ前に追い払うことが大切です。
そのままふさいでしまうとコウモリが餓死→異臭やダニが発生→家屋に深刻な被害というように悪い連鎖が続いてしまうので注意しましょう。
・家の周辺からコウモリを追い払う方法
アブラコウモリを家の周辺から追い払うのに効果的なアイテムが、コウモリ用かネズミ用の忌避剤(きひざい)です。
くん煙タイプとスプレータイプがあり、前者は屋根裏や天井裏などの広い場所に、後者は戸袋や換気口、外壁シャッターの隙間などの狭い場所に適しています。
忌避剤にはコウモリが苦手とされるハッカやトウガラシの成分が含まれているので、まだ住みついていないなら忌避剤を吹きかけるだけで十分効果があるでしょう。
ただ、しばらくすると効果が薄れるので、定期的に吹きかけてしっかりと予防することが大切です。
この他、コウモリは夜行性で光を嫌うので、侵入口になりそうな屋根裏に電気をつけると寄り付かなくなります。
また、コウモリは高周波の音を頼りに物の位置を確認したり、仲間と連絡を取ったりするので、強度の高い磁石や高周波発生装置などを使うと追い払えるそうですよ。
まとめ
コウモリが家に住みつくと、大量のフンや尿などによって家が傷んでしまいます。
ただ益獣として法律に守られているので、殺傷駆除できないどころか、保護するだけでも許可が必要です。
一度でも棲み処と認識すると住まいを変えようとしないので、確実に駆除するなら専門業者に依頼したほうが賢明でしょう。
アブラコウモリはどこにでもいます。まだ住みついていないという方も、被害にあう前に徹底して予防を行うことが大切ですよ。
いえらぶでは物件や不動産会社の口コミを見て比較できます。
よりクリアな情報から、あなたにぴったりの
いい家を選んでみませんか?
「いい家」を探す