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新しいIoT住宅の形・IoT×スマートハウスについて学ぼう

IOT とは?

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どんどんIT化が進む現代。

最近では、交通事故件数を減らすことを目的とした、自動運転機能や自動ブレーキ機能が搭載された自動車も販売されるなど、ITの技術は着実に私達の生活に広く浸透しています。

住宅もその一つで、こうしたIT技術を使用する家をスマートハウスと呼び、スマートハウスで使われる究極のIT技術がIoT(Internet of Things=モノのインターネット)と言われています。

内蔵センサーにより心拍数や脈拍数・体温などが計れるウェアラブル型スマートウォッチや高音質のスピーカーが内臓されたLEDの電球は音楽を聴くことができます。

このスマートウォッチに関しては健康管理だけでなく、スマートフォンと連携することでスマートフォンに届いたメッセージを読むこともできるため、大切なメッセージに気付くのが遅れるということもない画期的な商品で話題となりましたね。

このように、一昔前では夢物語のようだった世界が徐々に現実となっている今、身近なあらゆるものにIoTが搭載されています。

実際に、パナソニックなどの住宅メーカーは積極的にIoTの開発・販売に力を入れています。

今回は、そのIoTについてのお話です。

新しいマイホームの形~IoTとは何ぞや?~

IOT とは?

冒頭でIoT=モノのインターネットと簡単に説明しましたが、もう少し詳しくご説明したいと思います。

これまでインターネットといえば、PCやタブレット・スマートフォンなどを通じて行うものでしたが、IoTは物に通信機能を搭載し、そこから直接インターネットにアクセスして通信をすることで、物自体の自動認識や制御・遠隔操作を行うシステムです。

例えば、高速道路や幹線道路の渋滞状況を検知し、渋滞がひどくないレーンやルートを案内することで渋滞を緩和するシステムも、IoTの一種。

このシステムを利用すれば、いつまでも動かない渋滞に苛々することもなく、迂回して予定時刻どおりに目的地へ到着することもできるので便利ですよね。

では、IoTを駆使した暮らしのターゲット層は一体どういった方々なのか、また暮らしのどういった場面でIoTが活躍するのかという点を見ていきましょう。

新しいマイホームの形~お子さんや高齢者のいるファミリーにIoT住宅の便利なツール~

おじいちゃんおばあちゃん

IoTのある暮らしをおすすめしたいターゲット層がファミリーです。

例えばお子さんのいるご家庭なら、お子さんのお世話をしつつ家事も仕事もこなさなくてはいけず、親御さんは目も回るような忙しい毎日ですよね。

特に小さいお子さんは好奇心旺盛なので、親御さんが僅かに目を離した隙に思いがけないケガをしたり、事故につながることも。

また介護が必要な高齢者がいるご家庭なら、ご家族が仕事や学校で留守にしている間に何か異変があった時、それを知らせてくれる人がいなければ大変!

こうしたファミリーの「困った」を解決するために役立つのがIoTなのです。

新しいマイホームの形~住宅でIoTが活躍する場面~

先述の小さいお子さんを持つファミリーの場合、以下のような使用例が期待できます。

・お子さんがベランダの窓のカギを開けて外に出ようとした時に、窓に取り付けられているセンサーが感知して親御さんにお知らせする。

・お子さんが水を張った浴槽に誤って落ちたり、トイレ内でいたずらしてケガをしないように、お子さんが1人でバスルームやトイレに来た場合はドアや蓋が開かないように作動する。

上記のように、家庭内で「ここは危険かな」「ここは子どもにいたずらされたら困る」という場所にIoTを利用することで、未然に家庭内の不慮のケガや事故を防ぐことができるでしょう。

また介護が必要な高齢者がいるファミリーの方なら、以下のような活用が期待できます。

・家族の留守中や離れた部屋で家事をしている時に異変が起きた場合は、健康管理機器などを通じてすぐに家族に異変を知らせる。

・認知症の家族がいる場合、家族の留守中にガスコンロの使用や水を出しっぱなしにすることがないように、家電類やガスなどの使用を制限する。

このように、ファミリー世帯ではあらゆる場面において「こんなものがあったら便利なのに」「こんな時にこういうことができたら便利なのに」ということがたくさんあります。

こうしたニーズに合ったIoTが開発・利用されるスマートハウスは、家庭内での負担を軽減し効率を向上させ、より豊かで利便性の高い暮らしを実現できるようになります。

新しいマイホームの形~こんなシーンでも役立つIoT住宅・事例

先述の項目では、お子さんや要介護の高齢者の方がいるファミリーの方をテーマにIoTの利便性をお話しましたが、もちろんそれ以外のシングルやカップル・DINKSの方にもおすすめです。

こうしたIoTを導入した家電はスマート家電と呼ばれ、以下のようなシーンで活用されています。

鍵を持たずに施錠・開錠が可能

スマートフォンと鍵

IoTを活用した技術でまず注目したいのが、スマートロック機能です。

これは鍵を持たず、スマートフォンなどの通信機能を利用して施錠・開錠を行うシステム。

これならいくつも鍵を持つ必要もないし、鍵の閉め忘れや紛失も防げます。

さらに通常のドアの鍵と違って鍵穴もないため、空き巣によるピッキングの心配もありません。

合鍵作製もOK

鍵関連でもう一つ注目したいIoT技術が『合鍵作製』です。

これまでの合鍵作製といえば、マスターキーを鍵屋さんへ持って行って作ってもらうのが当たり前でしたが、IoTを利用すればその手間もいりません。

作製方法は専用アプリをインストールし、そこにマスターキーの情報を登録することで必要に応じて合鍵を作製するだけと、とてもシンプル。

合鍵のデータはメールなどで送信できるので、必要な時に渡したい相手にそのメールを送るだけでOK。

発行した合鍵のデータは使用可能な時間や曜日も設定でき、その設定期間を過ぎるとデータが無効となるため、不必要に使われる心配もありません。

防犯面や留守中の見守りに

最近の防犯カメラは、録画機能付でデータを保存することができるものが増えていますが、これにIoTが加わると音声も拾え、逆にこちら側からカメラの先にいる人に向かって声を掛けることも可能となります。

映像はスマートフォンやタブレット・PCなど、常時インターネットに接続可能な機器があればいつでも確認OK!

このカメラは自宅の玄関やベランダなど、空き巣が侵入しやすい出入り口に設置して、防犯カメラとして活用することはもちろん、室内に設置して留守中の家の中の様子を見守るツールとしても便利ですよ。

例えば、ペットを飼われている方なら留守中のペットの様子を見たり、共働きでお子さんが学校から帰ってきても親御さんが不在の場合は、カメラ越しにお子さんの様子を見守って声をかけることも可能になります。

特に声をかけることは、一人ぼっちで不安なペットやお子さんを安心させるために重要なポイントとなるのでおすすめです。

今後ご自宅に防犯カメラを設置するなら、ご自身やご家族の安全を守るだけでなく、お留守番中の大切なご家族の見守りに、IoTを利用した防犯カメラの設置はいかがでしょうか。

食材の在庫状況を教えてくれる

IoT導入の冷蔵庫

昨年ごろからスマート家電の普及が急速に広がり、冷蔵庫や電子レンジ・電気ポットと様々な家電に導入され、忙しい現代人の暮らしをより快適にしてくれています。

冷蔵庫の場合、買い物に行く前に冷蔵庫の前面のパネルで食材の在庫状況や賞味期限の状況などがチェックできるタイプや、庫内にある食材をセンサーが判別し、適切な温度でより美味しく食べられるように保存ができるタイプなどが販売されています。

これなら余分な買い物や買い忘れを防ぐことができ、買ってきた野菜がだめになるという心配もありません。

また、ドア前面に液晶パネル付きの冷蔵庫なら、冷蔵庫のドアを開けずに中身が判るので節電にも繋がって一石二鳥ですね。

自動加熱で失敗知らず!

IoTを搭載した電子レンジでは、庫内にあるセンサーで食品を判断し、適切な加熱時間や温度を自動調整するタイプのものもあります。

この方法なら加熱ムラがなくなるため、片面は熱が通っているけど片面は半生…というような失敗もありません。

ポットの利用=安否確認

近年、ポットを利用するとその利用状況が登録済の携帯へお知らせを届けてくれる電気ポットが発売されていますね。

これは例えば、田舎で暮らす親御さんが毎朝お茶を飲むためにポットから急須にお湯を入れると、離れて暮らす息子さんや娘さんの元にポットの利用があった旨をお知らせし、親御さんが今日も元気でいる安否確認としても活用できるツールとなっています。

もしお知らせが届かなければ、「あれ?そういえば今日はまだお知らせが届いていないけど、もしかして何かあったのかな?」とすぐに異変に気付くことが可能。

なかなか気軽にご実家へ帰れる距離に住んでいない場合、こうしたツールを使うことで、親御さんの毎日の様子をうかがい知ることができますよ。

自宅で録画した番組を外出先でも視聴

これまでテレビ番組の録画といえば、自宅に設置したレコーダーにデータを保存して、それを休日の空き時間などに自宅で観るというスタイルでした。

しかし近年、大手家電メーカーから発売されたレコーダーは、自宅で録画した番組のデータをWi-Fiを通じてスマートフォンやタブレットに転送し、それを外出先でも観ることができるタイプの商品も開発・販売されています。

さらにデータを転送するだけでなく、外出先で「あ、あの番組を録画予約するのを忘れた!」という時にも、連携アプリから録画予約をすることも可能。

観たい番組を見逃したり、録画した番組を観ずにデータを削除してしまう心配がないのは嬉しいですね。

健康管理もIoTにお任せ

IoT搭載の体組成計

ダイエットや健康維持のために、毎日体重や体脂肪率などを測り記録を付けているという方もいらっしゃるでしょう。

しかし、いちいちノートに手書きで記録をしたり、アプリに打ち込むのはちょっと面倒ですし、うっかり記録を忘れてしまうと正しいデータが取得できませんよね。

そんな方々の健康やダイエット管理をサポートするのが、IoTを搭載した体組成計です。

これはタブレットやスマートフォンに専用アプリをインストールし、体組成計と連携させることで、体組成計で計測したデータが自動的にタブレットやスマートフォンに記録される仕組み。

これならただ乗って計測するだけなので、管理も楽ですね。

お掃除だけでなくおしゃべりも楽しめる

ここ数年、人気が高まり所持する方も増えた家電といえば、ロボットクリーナーですね。

汚れを検知したら自動で掃除を開始し、充電が切れそうになると自動で充電器まで戻って充電を行うその姿に、愛着を覚えて名前を付けたという方もいるほど人気のロボットクリーナー。

そんなロボットクリーナーも進化していて、最近は無線LANを搭載したモデルも登場しています。

無線LAN搭載タイプのロボットクリーナーなら、スマートフォンやタブレットに専用アプリをダウンロードしてデータを登録するだけで、外出先から遠隔操作をすることも可能。

また、ロボットクリーナーに付帯している赤外線を利用して、テレビやエアコンなどのオンオフ操作を行うこともできます。

さらに機種によっては人工知能を搭載したモデルもあり、掃除の開始を声でお願いすると反応して清掃を開始したり、お掃除中もロボットクリーナーがお話をしてアピールを行います。

お掃除に関するお話だけでなく、「おはよう」や「今日も疲れたよ~」などの普通の呼びかけにも反応して会話をしてくれるので、もはやロボットクリーナーというより家族に近い感じですね。

ただのお掃除ツールとして活用するだけでなく、誰かと話をしたいという時のおしゃべり相手としてもおすすめです。

新しいマイホームの形~家全体にIoTを搭載したスマートハウス

スマートタウン

ここまでのお話でも判るように、IoTはとても利便性が高い分、電気がないとその性能や利便性を活用することができません。

そんなIoTを活かした家が『スマートハウス』です。

スマートハウスとは、太陽光発電や燃料電池等で作り出したエネルギーを、IoTを活用して効率的に利用する省エネ住宅のことを指します。

元々は1980年代のアメリカで誕生した言葉で、日本には近年の節電意識の高まりとともに徐々に認知度が広まっていきました。

このスマートハウスでは、消費エネルギーをなるべく抑える『省エネ』、消費用エネルギーを創りだす『創エネ』、創りだしたエネルギーを蓄える『蓄エネ』の三つが使用されています。

実例を挙げると、スマート家電は省エネ・太陽光発電システムは創エネ・電気自動車やプラグインハイブリッドカー(PHV/PHEV)は蓄エネに分類されます。

※プラグインハイブリッドカー(PHV/PHEV)…ガソリンと電気を使い分けながら走行するハイブリッド車の一種で、家庭用コンセントから充電を行う車のことを言います。

一般的なハイブリッド車より蓄電池の容量が大きいため、よりたくさんの電気を蓄えておくことができます。

屋根の上に設置した太陽光発電パネルで発電を行い、作られた電気を使ってスマート家電を利用したり電気自動車を充電して、災害時に停電が起きたら車に蓄電している電気を利用するといったスタイルは、省エネ・創エネ・蓄エネを全て利用した生活スタイルの一例です。

特に蓄電は、台風や地震など停電を伴う災害が発生した時、発電機代わりに電気自動車などを充電して蓄えていた電気を活用することができるというメリットも。

外部との連絡に欠かせないスマートフォンの充電なども行えるため、災害現場での活躍が期待できます。

なお、このスマートハウスのエネルギー管理に欠かせないツールがHEMS(ヘムス/ Home Energy Management System)で、日本語では『住宅用エネルギー管理システム』などと訳されます。

HEMSは、作られたエネルギーと消費しているエネルギー・蓄電中のエネルギーなど、スマートハウス内のエネルギーを管理するシステムなので、直接発電や充電などを行う訳ではありません。

しかし、自宅での電気の生産・消費・蓄電の状況をテレビ画面やタブレットなどで表示し可視化しているため、HEMSは自宅内のエネルギー管理がよりやりやすくなる重要なツールなのです。

さらに可視化するだけでなく、電力の消費量によって制御をすることもできるのもHEMSの良いところ。

HEMSを使用した電源タップや照明のスイッチなら、自動制御によって余分な待機電力を消費したり、照明の点けっぱなしを防止することができます。

ちなみに住宅用はHEMSという名称ですが、似たようなシステムとしては以下のものがあります。

・BEMS(ベムス/ Building Energy Management Syste)…ビル内のエネルギー管理を行う。

・FEMS(フェムス/Factory Energy Management System)…工場内のエネルギー管理を行う。

・CEMS(セムス/Community Energy Management System)…地域のエネルギー管理を行う。

内容はHEMSとほぼ同じで、違いは管理対象がビルや工場・地域というくらいです。

普段の生活でBEMSやFEMS・CEMSと深く関わる方はあまりいらっしゃらないと思うので、ここではHEMSの意味と内容を覚えておくと良いでしょう。

新しいマイホームの形~スマートハウスが注目されたきっかけと市場規模

日本では、スマートハウスが浸透する以前からエコについて取り組んでいて、水力発電や風力発電なども行われていたものの、現在と比較するとそこまで身近なものとは言えない状況でした。

しかし2011年の東日本大震災時、電力供給が逼迫し節電意識が高まったことや、2016年より始まった電力自由化がきっかけとなり、より効率よく電気を生産・消費ができるスマートハウスに注目が集まるようになります。

2014年は、消費税増税や太陽光発電システム設置に対する補助金助成が終了したこともあり、需要がやや緩やかになったものの、2016年の電力自由化を機に再び需要が高まったスマートハウス。

特に電力自由化は、これまで各地域を管轄する電力会社から供給を受けるだけだったものが、ご自身に合ったプランの事業者を選択することで、より節電しやすくなりました。

また、自宅で生産して余った電力(余剰電力)を電力会社へ売電することができるなど、様々なメリットもある電力自由化は、スマートハウスの需要を大きく後押しすることに。

こうした動きもあり、スマートハウスを設計・販売するのは大手ハウスメーカーだけでなく、家電業界や自動車業界など、スマートハウスでの暮らしに欠かせない関連商品を取り扱う企業も参入していて、私たち消費者にとっては選択肢がかなり増えました。

株式会社富士経済の調査によると、2020年のスマートハウスの市場規模は2兆8,886億円まで拡大すると見込まれており、その規模は2013年に2兆764億円だった市場規模と比較すると140%近くも需要が高まると予測されています。

また大手ハウスメーカーでは、新築一戸建ての物件に対して太陽光発電パネルを標準装備にした物件も増え、スマートハウスに興味のある方々にとってはご自身で別途設置を依頼する手間が省けるというメリットもあります。

蓄電のための電池については、まだオプションとしているケースも多いですが、将来的には蓄電池も標準装備のスマートハウスが登場するかもしれません。

新しいマイホームの形~自治体を挙げてスマート化に取り組む

太陽光発電パネル

こうしたスマートハウスでの暮らしは個人だけでなく、街づくりの一環として取り組んでいる自治体もあるんですよ。

鹿児島県の薩摩川内(さつませんだい)市では、次世代エネルギーを活用した街づくりを行っており、市内にスマートコミュニティと呼ばれる地域を作っています。

そこではスマートグリッドと呼ばれる送電網を利用して、電力の需要と供給を制御する取り組みを行い、効率よい電力消費と生産・蓄電を行っているそう。

スマートグリッドを含むコミュニティ内の電力は、電力供給の過不足が起きないように、全てスマートコントロールセンターと呼ばれる司令室で管理されています。

発電に必要な太陽光発電パネルは、川内駅をはじめ市内の各事業所・総合公園などに設置され、薩摩川内市内の電力を生産しています。

コミュニティ内にはスマートハウスのモデルルームも設置されていて、スマートハウスがどういうものなのか、実際に見学し体験することができるため、時には市外や県外から見学に訪れる方も少なくありません。

スマートハウスモデルルームでは、ただ見学するだけでなく各種イベントも行われています。

興味のあるイベントが行われている際には実際に足を運んで、スマートハウスの暮らしを体験してみてはいかがでしょうか。

新しいマイホームの形~政府も力を入れるゼロエネルギー生活

経済産業省資源エネルギー庁では、ZEHの普及に力を入れています。

ZEHとはNet Zero Energy Houseの略でゼッチと呼び、住宅の高断熱化と高効率設備により、快適な室内環境と大幅な省エネルギーを同時に実現した上で、太陽光発電等によってエネルギーを創り、年間に消費する正味(ネット)のエネルギー量が概ねゼロ以下となる住宅と定義づけています。

資源エネルギー庁のホームページより一部抜粋

これにはスマートハウスも含まれており、2020年までにZEHを採用した住宅の数を新規注文住宅全体の50%以上にまで持っていくことを目標に掲げています。

そしてこれに賛同し、同様の目標を宣言したハウスメーカーやリフォームメーカー・建売住宅メーカーなどはZEHビルダーとして登録されており、社名や目標に対する数値などを公表しています。

登録社数は2016年12月時点で既に4,000社近くまで上っており、各社の所在地も47都道府県全てにあるそう。

どうして政府がここまでZEHに力を入れているかというと、先述の東日本大震災での電力供給が不安定になったことや石油価格などの不安定化により、将来も安定したエネルギー供給が行える対策が急務とされたことによるようです。

ZEHのメリットは、断熱性能を上げることで夏涼しく冬暖かい家を実現し、それにより消費エネルギーの量を極力抑えることができ、結果としてエコにつながるという点が挙げられます。

いずれスマートハウスとしてマイホームを建てる予定の方は、地元ではどういった企業がZEHビルダーとして登録されているのか、資源エネルギー庁のホームページで確認されると良いでしょう。

恐らく近い将来、ご近所一帯がこうしたスマートハウスやZEHという地域も珍しくなくなるかもしれませんね。

新しいマイホームの形~IoTとICTの違い~

IoTとICTの違いについて悩む男性

ところで、最近IoTと似たような単語でICTという単語を見聞きした方もいらっしゃるでしょう。

ICTとはInformation Communication Technologyで、日本語では情報通信技術として訳されます。

実用例としては、離れた地域にある学校をネットワークでつなぎ遠隔で合同授業を行ったり、医療過疎となっている地域に住む方々を都市に住む医師がネットワークを利用して医療技術を行うことが挙げられます。

その他ぬいぐるみにICT技術を搭載し、毎朝登園する園児たちの体温をセンサーで測定し記録するということもできます。

一見するとIoTとはあまり関係が無いように見えますが、例えば在宅介護で療養中のご家族がいたとします。

本来は定期的に通院または担当医に往診してもらい、病状を診断してもらうことが望ましいですが、住んでいる地域が病院から遠く、頻繁に通院や往診が難しい場合もあるでしょう。

そんな時、カメラ付きのPCやタブレットを利用して遠隔地にいる担当医と通信を行い、モニター越しに診察をしてもらうことで、患者さんとご家族の方・お医者さんの双方がわざわざ足を運ばずとも必要な往診を受けることができます。

また、先述のようにご家族が不在の時や、家事をしていて患者さんの近くにいない時に容体が急変するなどの異変が起きた場合、それをセンサーなどが感知して素早くご家族や担当医へ知らせることも可能です。

このように、IoTとICTはそれぞれ違う役割を持っている点を活かし、私たちの暮らしをより便利にするために欠かせないツールとして活用することも期待されています。

新しいマイホームの形~スマートハウスの課題点~

電池切れのスマートフォン

これまでのお話ではスマートハウスのメリットなどを中心に取り上げましたが、課題点ももちろんあります。

まず、電力の生産状況や消費状況を可視化するHEMSですが、利用する通信にはECHONET Lightと呼ばれる規格が必須です。

しかし、まだこの通信規格に対応した家電が少なく、非対応の家電の場合はHEMSによる自動制御ができません。

そして、導入時にかけるイニシャルコストに対し、導入後の電気代の費用対効果を考えた時、どこまでお得になるのかは機器によるところというのも課題点の一つです。

また、発電に欠かせない太陽光発電パネルも、一昔前に比べて導入するご家庭が増えているとはいえ、まだまだ販売価格が高い商品です。

そのためこちらも、費用対効果を考えた時に投資分を回収するまでに時間がかかることがネックとなって、設置を見送ったという方もいるのではないでしょうか。

さらに、太陽が出ていない雨天時や曇天時・夜間は当然発電量が下がるため、その時は通常通りの電気代がかかるというデメリットもあります。

ただ今後、HEMSや太陽光発電パネルの普及拡大とともに売電量が増えると、結果として電力会社へ余剰電力を販売する際の売電価格が値下がりする可能性もあります。

売電価格は一度決まるとその後は原則値下がりしないため、1円でも高い価格で売電を行いたい場合は、早めに導入するほどお得になるのです。

悩ましいところですが、こうした課題点も踏まえてスマートハウスを検討されると良いでしょう。

新しいマイホームの形~スマートロックの課題点~

前半のお話の中で、スマート家電の一つとしてスマートロックを取り上げましたが、実はこれにも課題点がございます。

まずは、スマートロック本体の電池切れ。

スマートロック本体は電池式のため、電池が切れてしまうと当然使えなくなります。

もし電池切れでスマートロックが使用できない場合、通常の鍵を利用すれば開けることができますが、この鍵を持ち歩いていないと自宅に入ることができません。

反対に、スマートロック本体ではなく操作をする側のスマートフォンの電池切れも同様の対処が必要となるため、どちらも電池切れには注意しましょう。

そしてスマートロックのもう一つの課題点が、取りつけできる鍵のタイプが限られているということ。

スマートロックはどんな鍵にでも取り付けられるわけではなく、タイプによっては取り付けが不可の場合もあります。

マイホームを建てる際、最初からスマートロック対応を選択するならまだしも、マイホーム完成後に既存の鍵をスマートロックに変える場合は事前に確認しましょう。

新しいマイホームの形~IoT×スマートハウスの今後~

現在、各地で企業同士や企業と大学の産学連携といった、IoTとスマートハウスに関する共同研究や開発が行われていますが、まだまだ課題も多く存在します。

便利な暮らしになることは決して悪いことではありませんが、利便性を求めるあまり、幸せをもたらすはずの家が幸せでなくなってしまっては意味がありません。

今後はIoTがどこまで人の暮らしに密着するのか、機械にどの程度まで役割を任せるかによって、スマートハウスの在り方が変わってくることでしょう。

数年後は「マイホームはスマートハウス」という時代になっているかもしれない未来。

今後マイホームを購入予定の方やリフォーム予定の方は、スマートハウスも検討してみるのも良いかもしれません。

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