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海外でも増える共働き世帯!夫婦間での家事分担はどうなっている?
目次
安倍政権が打ち上げた『一億総活躍社会』のスローガン。
女性の社会進出が後押しされるようになったこともあって、近年では夫婦共働きの家庭が増えています。
しかし一方で家事や育児は分担されず、女性の負担が重くなっているとの意見もあります。
共働き世帯必見!日本人男性は「世界一家事をしない」?
少し前に、「日本は世界一、夫婦間の家事・育児の分担率が低い国」とのニュースが話題になりました。
2012年に国際社会調査プログラム(ISSP)が「家族と性役割に関する意識調査」を実施。
33か国の夫婦が家事や育児・介護等にどれだけの時間をかけているかアンケートを取りました。
子持ち男性の家事分担率はスウェーデンが1位で42.7%。
メキシコやアイスランドが続き、日本は最下位の18.3%でした。
ちなみに日本より1つ上のチリは24.5%。
海外と比べてみると、日本人男性の家事分担率は著しく低いという事が分かります。
どうしてこのような結果になったのか、海外の家事事情を見てみたいですね。
海外の家事
海外の家事事情は日本と大きく違う点があります。
それは海外の多くの国々では「家事は楽をするもの」と捉えられていること。
楽をする、といっても否定的な意味ではありません。
省ける部分は簡略化して、人に任せられる部分は外注化しています。
1.家電任せの家事
例えばアメリカは家事分担率が37.1%で33カ国中11位。
「男女平等の国」にしては意外にも中位へのランクインです。
そんなアメリカでは、ほぼ9割の家庭に食器洗浄機・洗濯乾燥機が備え付けてあります。
食事の後片付けも、洗濯もすべて機械任せなのがアメリカ人の家事。
アメリカにも日本の「専業主婦」に該当する「ハウスワイフ」「ハウスメーカー」といった言葉があります。
ですがこれは定年して無職の女性や、育児のためにやむを得ず仕事を辞めて家にいる女性を指す言葉。
このような状況からも、アメリカではあまり家事に意味を見出していないようです。
できるだけ楽をしたいし、やらないで済むならやりたくないのが家事なのですね。
2.ハウスキーパーを雇う選択肢も
海外ではハウスキーパーにすべての家事を任せてしまう家庭も少なくありません。
中には住み込みでハウスキーパーを雇う世帯も多いです。
例えばハウスキーパー文化が強く根付いているシンガポール。
5世帯に1世帯が雇用しているのですから、普及の度合いが伺えます。
利用者は富裕層・中間層の小さい子供がいる家庭や、介護が必要な両親を抱えている世帯です。
ハウスキーパーとして雇われる多くは、他国から出稼ぎにきた女性たち。
これは先進国シンガポールと、周囲の発展途上国の国際経済格差が根底にあります。
またシンガポール政府が、ハウスキーパーに関する制度を整備しているのも一因でしょう。
3.家事を徹底的にシンプルに
家事分担率31%で33か国中23位のドイツは、徹底的にシンプルな家事を目指す文化です。
特に目立つのが食文化で、朝晩は基本的に火を使わない食事です。
例えば朝食はパンにハムやチーズを挟んだだけのシンプルなサンドイッチや、牛乳をかけたシリアルなど。
昼食は外食で、夕食には再びパンとチーズが食卓に並びます。
ただそれは平日の話、休日は一変して食卓が華やかになります。
週末は、家族全員でピザを作ったりバーベキューをしたり、メリハリがある食生活が垣間見えます。
共働きの場合
女性の社会進出が世界的に進み、共働き世帯は国内海外問わず増え続けています。
世界的な潮流の中で、日本の家事分担率が最下位となる要因は何でしょうか。
探るためにも海外の、共働き世帯の家事事情を見てみましょう。
1.昔は日本と似ていたスウェーデン
家事分担率42.7%で海外トップのスウェーデン。
さぞかし男性は家事に理解があるのだろうと思いきや、意外にも日本との共通点が多いです。
30年前までは保育システムが整っておらず、また主婦の社会的地位は低かったようです。
日本では「専業主婦」に対してある程度の社会的地位が認められていますが、スウェーデンでは専業主婦は「何もしていない」に等しかったのです。
そこでスウェーデンの既婚女性たちは働きに出て社会に貢献することを選びました。
結果、就業率は上がったものの離婚率も増加してしまいました。
これはまずい、とスウェーデン政府は対策を打ち出します。
数々の優れた政策がありますが、特筆すべきは『育児休業制度』。
男女どちらも取得できる、育児休業による収入補填制度です。
育児休業制度によって父親も育児休暇を取りやすくなりました。
男性にも育児を促すシステムを通じて、家事への理解も深まったのでしょう。
男女が育児休暇を取得できる土壌が、家事分担率1位に繋がったと考えられます。
2.少子化対策に成功したフランス
フランスは海外の先進国でも数少ない、少子化対策に成功した国です。
1994年に出生率が戦後最低の1.66人まで下がったことを受けて、少子化対策を打ち出したフランス政府。
そのわずか12年後の2006年には、先進国で最高の出生率2.01人まで回復しました。
出生率を増やしながらも、女性の就業率は85%にも上ります。
そんな子持ちの共働き世帯が多いフランスの家事分担率は38.6%で33カ国中5位。
当然父親の家事への理解も深いことが予想されますが、その理由は何でしょうか。
出産・育児の制度や手当の充実は当然ですが、それ以上に特筆すべき要点がありました。
それはフランスで2002年から制度化された『男性の育児休暇』。
フランスでは男性でも、子供が生まれてから2週間の育児休暇を取得できます。
産まれたばかりの可愛い我が子のそばにいたい想いは、国内海外問わず同じでしょう。
それから2週間、幼い我が子の面倒を見る状況に置かれ、父親としての意識が日ごとに芽生えます。
自然と家事にも目が届くようになり、自分も家族の一員であると自覚します。
2週間経って仕事に復帰しても、家事への意識はすぐには薄れないもの。
フランスの家事分担率の高さは、こうして維持されているのでしょうね。
3.日本と似たり寄ったりの韓国
海外の中でも日本と文化や風習が似ているといわれる韓国。
家事分担率は25.8%で33カ国中30位と、これまた日本とあまり変わりません。
共働き世帯は韓国でも増えており、女性に家事の負担が偏る風潮も似ています。
また韓国では「女は3歩下がって男を立てる」ことを美徳とする文化があります。
この風潮は最近の若い世代でこそ薄れていますが、「家事は女性がやるべき」との考えはいまだ根強いです。
ただ日本と違うのは家族の結びつきが強いこと。
結婚しても夫婦は別姓で、家と家との結びつきをとても大切にしています。
そのため姑が家事・育児を肩代わりしてくれるお陰で成り立っている共働き世帯も多いのです。
日本との違い
ここまで海外の家事と、共働き世代での家事分担を見てきました。
中でも家事分担率1位のスウェーデンは大きな参考になります。
スウェーデンですら、ほんの30年前までは「家事は女性がやるべきこと」でした。
これは他の海外諸国でも同じで、日本だけが特別ではないようです。
ではなぜ日本だけが、家事分担率最下位との不名誉を甘んじることになったのか。
日本の家事分担率を海外並みに高めるにはどうすればいいのか。
今度は海外の事例と比較した日本の実情を見てみましょう。
1.男性の労働時間が長い
「男子厨房に入るべからず」は昔の話、今では男性も家庭科の授業は必修科目です。
現に20代男性の6割が「男性も家事・育児を行って当然」と考えている調査結果も出ています。
しかし男性の家事分担率が低い理由として挙がるのが、長時間の労働です。
日本人男性の週当たりの平均勤務時間は47.8時間、女性20.2時間のほぼ倍。
これは1日の労働時間に換算すると世界平均より150分近く、多く働いている計算になります。
働きすぎと言われる日本。
社会問題にもなっていますよね。
そのようなこともあり、拘束時間の少ない女性に家事の負担が偏ってしまうのは仕方ないことかもしれません。
また「Karoshi(=過労死)」との単語が英字辞書に掲載されるような、日本の特異な労働環境もあります。
日本人男性の家事分担率を上げるには、労働環境の問題は避けて通れないようです。
2.男性が育児休暇を取得しにくい
スウェーデンやフランスのような家事分担率が高い国々でも、最初から男性が家事をする共働き世帯はそれほど多くありません。
海外男性の家事分担率が高いのは2人世帯より、子供がいる世帯の方が多いデータが出ています。
子供が生まれ父親の自覚が芽生えると同時に、家事にも目が向くようになったと考えるのが自然ですね。
となると当然、その下地には男性の育児休暇取得があります。
日本でも男性の育児休業制度は存在しますが、取得率はわずか3%。
その一方で「男性の68.9%が育児休暇の取得を希望している」との東京都の調査結果も出ています。
ここから60%近くの男性が「育児休暇を取得したいけど我慢している」実態が見えてきます。
有給休暇取得率が世界最低の50%とのデータからも、労働環境の問題が家事分担率に影響を及ぼしていることが想像できます。
3.家事への価値観が海外と真逆
海外では家事にさしたる意味を求めていないのはここまで語ったとおりです。
一方で日本では「家事は丁寧にきちんとこなすべきもの」との風潮が見られます。
海外なら「忙しいから仕方ない」で済むことが予想されます。
また女性にも「家事はきちんとやらなきゃいけない」強迫観念が強いようです。
例えば日本の主婦の48.4%が「トイレ掃除は毎日すべき」と考えているとの調査結果があります。
夫が休みに掃除をしても、主婦からすれば「こんなこと私は毎日やっているわよ!」とした気持ちでしょう。
少しでも汚れが残っていれば女性がやり直してしまい、家事とカウントされないこともあるといいます。
火を使わないドイツ式の朝食も、日本では間違いなく手抜き扱いされます。
海外と比べて家事のハードルが著しく高いこと、男女で家事に携わる頻度に隔たりがあることも家事分担率が低い一因かもしれません。
4.『専業主婦』に社会的地位が認められている
家事への完璧さが求められる理由として、日本では専業主婦の社会的地位が認められていることが考えられます。
これは『妻が家を守っているお陰で夫は安心して仕事に打ち込める』、ひいては『妻は家事を通じて社会貢献をしている』との考えからでしょう。
女性の社会進出が叫ばれる現在でも、専業主婦になりたい女性は一定数存在します。
「専業主婦にも給料が支払われるべき」との議論も、日本人は家事に価値を求めていることが伺えます。
海外では「働いてこそ社会貢献、専業主婦は無職と同じ」との価値観ですからね。
「専業主婦は家事のプロフェッショナル」との日本の価値観は、海外では理解されにくいでしょう。
その結果「家事は毎日女性がやるもの」との意識はなかなか抜けなくなります。
「家事は休みに夫婦でやる趣味」くらいの感覚になれば、もう少し家事分担率は上がるのかもしれませんね。
メリットやデメリット
ここまでで海外と日本では、家事への価値観が大きく異なることがわかりました。
日本の家事分担率を上げるには、文化の違いを避けては通れないようです。
では制度やサービスはどうでしょう。
海外独自の制度やサービスを日本に導入したらどうなるか、との視点からメリット・デメリットを見ていきましょう。
1.ハウスキーパーのメリットとデメリット
夫婦でこなさなければならない家事の量が減るのは、ハウスキーパーの大きなメリットです。
また仕事ですからクオリティが高い家事が期待できます。
日本でも家事代行サービスは存在しますが、料金は1時間1,500円~4,000円ほど。
住み込みでハウスキーパーをさせるとなれば、相当の費用を覚悟しなくてはなりません。
外国人ハウスキーパーを安く雇うことは日本でも可能ですが、言語や文化などのギャップは避けて通れません。
また虐待や犯罪のリスクは、ハウスキーパー文化の根強いシンガポールでもいまだに頭を抱える問題です。
2.休暇取得率増加のメリットとデメリット
家事育児に理解がある日本人男性は多く、休みさえあれば家事を手伝いたいはず。
となれば休暇取得が容易になれば、家事分担率も上がることが予想できます。
しかし日本のインフラやサービスもまた、従業員の長時間労働によって支えられています。
休暇取得率が上がることは、今より不便になる側面も抱えています。
3.家事簡略化のメリット・デメリット
アメリカでは家電頼りで家事の負担を極力減らしています。
しかしこれはクレジットカード社会と、アメリカの家電の安価さが支えています。
日本の家電は高機能なものの高価で、庶民には手が届きにくいですね。
分割購入によるカード破産のリスクなども決して無視できないデメリットです。
食事の面に関しても、ドイツのような平日は外食とシンプルな食事で済ませる食事はどうでしょうか。
日本でいえば朝晩はできあい(スーパーの惣菜)、昼は外食といったところでしょうか。
日本人の食文化的には歓迎されにくいかと思います。
食育がしきりに叫ばれる昨今、子どもの発育への影響も懸念されます。
しかし、最近では総菜なども野菜が多く取れるものもあります。
日本では健康志向が高まっているので、総菜なども野菜中心のものなどもあるのでもしかしたら、総菜の方が多くの野菜を摂取できるかもしれませんね。
まとめ
いかがでしょうか。
海外と比べると日本は夫婦間の家事分担が出来ていないという事が分かりました。
これらは残念ながら、一朝一夕で変わるものではありません。
しかし男性の家事・育児への意識は大きく変わりつつあります。
まずはできることから始めましょう。
話し合ってお互いが納得できるような家事の分担がしたいですね。
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