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犬猫のマイクロチップ義務化とは?ペットへの負担と費用についても解説

いえらぶコラム編集部

犬猫のマイクロチップ義務化とは?ペットへの負担と費用についても解説

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2019年6月、動物愛護法の改正によって決められた「犬・猫のマイクロチップの義務化」。

この度、2022年(令和4年)6月1日から施行が開始されました。

犬・猫の違法な放棄や遺棄、悪質な虐待・繁殖、脱走による行方不明、保健所に保護された後の殺処分を減らすことを目的にしています。

ペットを守るためとはいえ、「本当に安全なの?」「体に埋め込んで害はないの?」などマイクロチップに対して抵抗がある方もいるでしょう。

そこで今回は、マイクロチップの大きさや装着方法、埋め込む場所、手術費用の負担などについてご紹介します。

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犬・猫のマイクロチップの義務化施行日は2022年6月1日

犬・猫のマイクロチップの義務化施行日は2022年6月1日

2019年6月12日(水)に決定された犬・猫のマイクロチップの義務化を含めた動物愛護法の改正は、「2022年(令和4年)6月1日」から施行されました。

法律の適用には順序があり、以下の手順を踏まなければ本格的な施行には至りません。

1. 法律の成立:衆議院と参議院の両方で可決

2. 法律の公布:法律の内容や適用される日を国民に発表

3. 法律の施行:「法律の公布」で記された日から法律が適用され、罰則が加えられる

法律の成立から法律の公布までは30日以内とされており、2019年6月19日(水)に官報(かんぽう)※によって施行日が公示されました。

それによると、法律の公布から1年以内に政令で決められるそうです。

なお、動物愛護法の改正でもう一つ注目された「生後56日以内の犬・猫の販売禁止」も無事に可決され、「2021(令和3年)年6月1日」に施行済みです。

生後間もない子犬や子猫を親・兄弟から引き離すと、病気になったり、人を噛んだりするそう。

それで捨てたり、虐待したりという人もいるわけなので、動物たちを守るにはとても良い方向に動いていると考えられるでしょう。

※国民に知らせる事項を編集し、毎日刊行する国家の公告文書

マイクロチップはなぜ義務化された?

マイクロチップはなぜ義務化された?

冒頭でも述べたように、マイクロチップは、犬・猫の放棄や遺棄、虐待、迷子などを減らすことを目的としています。

以下にて、義務化の背景となったいくつかの要因を詳しくご紹介します。

・飼い主不明による殺処分を減らすため

犬や猫の殺処分の数は年々減少していますが、それでも年間何万という数の子たちが殺処分されています。

飼い主のもとに戻れれば、殺処分の数を減らせることから、マイクロチップの必要性が高まったのでしょう。

・脱走による迷子や災害時の身元確認が目的

脱走によって迷子になる犬や猫は多く、保護された犬や猫で飼い主が見つかったのはごくわずかです。

また、災害時もペットの身元確認が困難になりやすいとされています。

東日本大震災時、とある自治体で保護された犬や猫のうち迷子札をつけていた犬・猫の飼い主との再会率は100%なのに対し、首輪のみの場合の再会率は犬0.5%、猫0%だったそうです。

・世界的にマイクロチップの義務化が進んでいるため

フランスやスイス、ベルギー、オーストラリアなどでは、犬のマイクロチップ装着が義務化されています。

ペットと一緒に日本に来る際も証明書を提出しなくてはならない他、日本から海外へ行く場合でも、マイクロチップ装着を義務としている諸外国もあるのです。

マイクロチップの義務化で何が変わる?

マイクロチップの義務化で何が変わる?

犬・猫のマイクロチップの義務化が施行されると、以下のような変化が起きます。

・ペットショップにいる子たちはすでにマイクロチップ装着済み

動物取扱業者には、販売する犬・猫のマイクロチップの装着が義務づけられます。

そのため法律が施行されると、すでにマイクロチップを装着された犬・猫が販売されることになるため、飼い主はマイクロチップのデータの登録変更を行わなくてはなりません。

・もらったり拾ったりした場合は"努力義務"が課される

ペットとなる犬や猫の入手ルートは、必ずしもペットショップだけではないですよね。

仮に、友達や知人からもらったり、捨てられている子を拾ったり、野良を保護してそのまま飼ったりした場合は、マイクロチップを装着するよう努力義務が課されます。

これは、「絶対装着してね!」ではなく、「やったほうが良いけど、どうするかは飼い主の判断に任せます」ということです。

すでに飼っているペットにもマイクロチップを装着しないとダメ?

すでに飼っているペットにもマイクロチップを装着しないとダメ?

すでに飼っている犬や猫にマイクロチップを付けるかどうかですが、結論から言うと「装着しなくても大丈夫」です。

もらったり、拾ったりしたときと同様に、努力義務が課されるのみとなっています。

今後、法律が施行されると、マイクロチップの埋め込みはブリーダーに飼われている間になされることになります。

販売される期間が49日(生後7週間)から56日(生後8週間)に引き延ばされたので、その間にマイクロチップが装着されるというわけです。

その時点で所有者情報が環境省のデータベースに登録されるのですが、もしもペットショップなどから新しくペットを迎え入れた場合、私たちは「飼い主が変更になります」という登録義務さえ行えば問題ありません。

なお、自宅で子犬や子猫が生まれた場合で、マイクロチップを装着するなら、最初にワクチンを打つ生後50日ほどが望ましいでしょう。

マイクロチップを装着しなかったら罰則はある?

前項でも述べましたが、マイクロチップの装着はブリーダーに飼われている間になされることになります。

つまり、私たちが違反により罰則を受けることはあり得ないというわけです。

ただし、違法ルートで手に入れた犬・猫の場合はこの限りではありません。

マイクロチップの大きさはどれくらい?どんな機能があるの?

マイクロチップの大きさはどれくらい?どんな機能があるの?

マイクロチップは、アンテナとICを内蔵した電子タグ。

直径2mm、長さ8~12mmで、筒状の形をしています。

表面はガラスで覆われており、体内で動かないように特殊なコーティングや凹凸がつけられているみたいですね。

電子タグには飼い主のデータ(15桁の数字)などが登録でき、このデータは「リーダー」という機械を使って読み取ることが可能です。

マイクロチップは、いわばペットの身元証明のようなもの。

迷子や盗難、自然災害、交通事故などで離ればなれになっても、リーダーからの電波をマイクロチップが受信するため、犬や猫が飼い主のもとへと無事に帰れる可能性が高くなります。

ただし、GPS機能は付いていないので万能とは言えません。

マイクロチップを装着しているからと油断せず、飼い主側でしっかりと管理することが大切ですね。

なお、リーダーは、全国の動物センターや動物病院に配備されるそうです。

マイクロチップはどこに埋め込む?耐久年数はどれくらい?

マイクロチップはどこに埋め込む?耐久年数はどれくらい?

・マイクロチップの装着方法

マイクロチップの埋め込みは、獣医療行為に該当するため、必ず動物病院で行わなくてはなりません。

「手術になるの!?」と不安になる方もいるでしょうが、大掛かりな手術ではなく、皮下注射です。

通常の注射針よりも少し太めの「インジェクター」という注入器を使います。

痛みは通常の注射と変わらないようです。少しは安心ですね。

・マイクロチップを埋め込む場所

マイクロチップを埋め込む場所は、「首の後ろ、背骨よりも少し左側」です。

高齢の犬・猫や、子犬・子猫、あまりにも小さい個体(チワワやマンチカンなど)だと、余計に不安になりますよね。

そんなときは獣医さんに相談し、想定されるリスクや安全性などを納得できるまで説明してもらってくださいね。

・マイクロチップの耐久年数

マイクロチップの耐久年数は、約30年だそうです。

電池切れなどの心配がないそうなので、犬や猫の一般的な寿命から考えると、途中で交換手術をする必要がありません。

首輪やドッグタグのように、落ちたり、外れたり、切れたりといった消失するリスクがないのは嬉しいポイントでしょう。

マイクロチップの事故の可能性は?考えられる身近なトラブル

マイクロチップの事故の可能性は?考えられる身近なトラブル

「マイクロチップが体内で破損したらどうしよう…」と不安になる方もいるでしょう。

(公社)日本獣医師会のホームページでは、"副作用やショック症状などの事故はない"としていますが、まれに異物に過剰反応を起こして炎症することがあるそうです。

まだまだ普及が一般的ではないことから、絶対にないとは言い切れないので、埋め込んだ後も常に安全性に目を光らせておいたほうが良いでしょう。

また、事故はないとしていますが、よくあるトラブルとしてあげられるのは"マイクロチップの迷子"です。

背中に埋め込んだマイクロチップが、腕や肘などに移動してしまうことで、報告された中にはお腹に移動していた子もいたようです。

仮にマイクロチップが腕や肘にあると、犬や猫はその異物感から引っ掻いたり、噛んだり、わざとぶつけたりするそう。

加えて、マイクロチップが迷入した箇所をケガしてしまうと、破損リスクが高まります。

マイクロチップが体内で迷子にならないようにするためにも、装着後は安定するまで、しばらく激しい運動をさせないほうが賢明です。

マイクロチップの移動に気付いたら、

・どうしたら良いのか

・マイクロチップの形に異常がないか(破損していないか)

・マイクロチップが移動していることをどう周りに知らせたら良いか

これらを、獣医さんに相談してみましょう。

なお、マイクロチップはどうしてもという要望があれば、あとから取り外すことが可能だそうです。

しかし、その場合は外科手術になるので、全身麻酔などを承諾しなくてはならないでしょう。

命の危険性もあるので、獣医さんに相談しながらじっくり考えてみてください。

手術費用は自費でまかなうの?費用の相場と助成金の有無

マイクロチップの手術費用は、3,500~5,500円前後が相場だそうです(動物病院によって異なります)。

自費でまかなう必要がありますが、自治体や動物病院によっては「手術費用を免除」などの助成金制度を設けているところもあります。

先着順にしたり、期間を定めたりしているケースも多いので、お住まいの自治体やかかりつけの動物病院に確認してみると良いでしょう。

飼い主のデータはどこで管理される?登録手続きの流れ

飼い主のデータはどこで管理される?登録手続きの流れ

マイクロチップのID番号と飼い主のデータは、「AIPO(動物ID普及推進会議)」にて登録・管理されます。

登録料は1,000円で、登録手続きの流れは以下の通りです。

1. 登録申込書を記入

登録申込書に、飼い主の氏名、住所、連絡先などを記入します。

登録申込書は、動物病院などでもらうことが可能です。

2. 登録料を支払う

登録料1,000円を支払います。

3. 申込書を送付する

公益社団法人 日本獣医師会に、申込書を送付します。

4. 登録完了ハガキが届けばOK!

登録完了ハガキが届いたら、なくさないよう大事に保管していてください。

引越しで住所が変わった、飼い主が変わった、ペットが亡くなったなど、登録データの変更手続きを行う際に役立ちます。

なお、ID番号や飼い主のデータの他にも、

・ペットの情報(名前、種類、品種、毛並み、性別、去勢・不妊手術の有無など)

・装着した日時

・獣医師の情報(名前、獣医師会コード)

・動物病院の情報(住所、電話番号)

これらを登録できます。

登録している飼い主が変更手続きを行う際は、無料で行えますよ。

登録データ変更および削除手続きの流れ

登録データの変更・削除は、以下の手順で行います。

1. 登録完了ハガキをコピーする

ID番号が書かれた面をコピーします。

2. 余白に必要事項を明記する

コピー用紙の余白に変更事項を書きましょう。

3. コピーしたものを送付する

変更事項を記載した登録完了ハガキのコピーを、AIPOへ郵送またはファックスします。

登録データを削除する場合は、コピー用紙の余白に「データ削除」と明記すればOKです。

まとめ

マイクロチップの装着が義務化されたことで、ペットと離ればなれになって悲しむ人が減るでしょう。

もらったり、拾ったり、すでに飼っていたりというペットへの装着義務はなく、あくまでも努力義務だそうですが、万が一のことを考えるならマイクロチップの装着を検討しても良いかもしれませんね。

ただ、いくらマイクロチップがあっても離ればなれになったときの悲しさや、心配する気持ちがなくなるわけではありません。

大切な家族ですから、無事に戻ってくるまでは安心できません。

そのため、マイクロチップが義務化されても不注意で離ればなれになってしまわないように、飼い主がしっかりと見ておかなくてはなりません。

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